埼玉県川口市のイタリア車専門店 ースティーレー

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Race Reportレースリポート

 Twinring MOTEGI

『Never give up』

idlers Games 12Hours Endurance 2015  (Extra chapter)

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Smoky Bears by Stile Racing Team
(SBS Racing) DRIVERS LINEUP

[チームリーダー] 倉田健

[463号車監督] 瀧本亜紀夫
[アドバイザー] Stile 上松淳一
[ヘルパー] 鈴木克哉

156TS 5MT (463号車) "しろみみ号" #463


[Dr./ドライバー]
堀内奉樹
曽山昌治
斎藤敦
瀧本亜紀夫
石崎徹
加瀬康弘
山下真二
丸山雅弘
倉田健
(大門力男)

[サポート/ヘルパー]
関口直秀、桜井わかば、村田よりこ、斎藤優子、瀧本眞由美、曽山晨登(アサト)、菱沼祐太(ユウタ)、牧野端慶(マサノリ)、新沼宏朗(ヒロアキ)

[メカニック]
西村忠修(ニッシー)、杉田亨
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モテギのS字コーナーを、色とりどりのマシンが次々と飛び込んでいく。

続いて真紅のボディの156(#463)も、黄色いMiTo(#101)に離されまいと必死に喰らい付いて行った。
白く塗られたミラーがトレードマークの"しろみみ号"。

"しろみみ号"を駆るのは、Smoky Bears by Stile Racing Teamである。

STiLENiAの倉田が有志を集めて参加しているチームだ。

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Stileから156TSを車両レンタルし、後は気の合う仲間達と、何もかもイチから自分達で試行錯誤しながら準備し、この真夏の祭典「idlers 12時間耐久 」に参戦している。
ある意味、idlersの掲げる参加精神を地で行くスタイルで微笑ましい。
しかしこの日を迎えるまで決して順風満帆ではなく、このチームも紆余曲折あり、手探り手作業の連続で何とか本番当日まで漕ぎ着けた格好だった。

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そんな"しろみみ号"も開始から4時間、抽選順位の54位スタートから、気が付けば第6スティントの加瀬が、46位まで順調に順位を上げていた。

Dr.は①堀内、②曽山、③斎藤、④瀧本、⑤石崎、⑥加瀬、⑦山下、⑧丸山、⑨倉田の9人。(大門は仕事の都合により、急遽前日キャンセルとなった)

STiLE Worksと同じピット内では、メカのニッシー、杉田を援軍に迎え入れ、ピットクルーのアサト、ユウタ、マサノリ、ヒロアキのフレッシュな大学生チームも頼もしい。
サインボードエリアは瀧本、斎藤、桜井、村田の華のある女性メンバーが受け持つ。ジリジリと照り付ける太陽に負けじとサポートに精を出す。

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監督の瀧本のプランは、スタートDr.にクレバーな堀内を据えて、混戦状態を抜け出すこと。続く曽山、斎藤、瀧本、石崎とレース経験者を置き、灼熱の厳しい暑さを迎える前に1つでもジャンプアップして襷を繋いでいく作戦。

それに応えるように、前日から体調を崩し解熱剤を飲んでこの日を迎えた曽山が踏ん張り、テクニシャンな斎藤が3スティントを熟し、アルチャレ経験者の石崎が魅せる。

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12:00。12耐の熱気をそのまま昇華させたかのように、モテギのコースの真上には容赦無く照り付ける太陽がジリジリと我々の肌を射してくる。

サインボードエリアに向けると、簡易タープを突き抜けて射してくる暑い日差しを跳ね除けるように、桜井、村田、斎藤、瀧本、4人の女性陣が、馴れない計測とサインボード出しを、息の合った抜群のチームワークを魅せる。コースで懸命に襷を繋ぐDr.と、ピットで献身的なサポートするピットクルーの繋ぎ役を見事に果たした。

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13:00。Dr.もマシンも過酷を極める、地獄のこの時間帯。スタミナに定評のある山下が第7、続く第8を丸山が務め気を吐いた。
実は山下、今回レース前に腕を骨折していた。一時は12耐の参加自体が危ぶまれたが、ギプスを割ってまでDr.としての気概を見せ、漢気あるスティントを披露した。
そして一番暑い過酷な時間帯のスティントを走る、丸山。「安定した大人の走りで計算出来る」と瀧本監督から全幅の信頼で託された。今回地方勤務からぶっつけ本番で参加し、馴れない初ドライビングの"しろみみ号"を、キッチリアジャストしてみせた。

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16:00。同一ピット内の他チームが徐々にマシントラブルやクラッシュで沈んで行く中、Stileからエントリーしている3台は、この時間まで何とか夢舞台から脱落することなく、襷を繋いでいる。

 

残り4時間余り。元々、大人なドライビングをするテクニシャンなDr.が多い倉田のチーム。
ピットクルーやヘルパーの息もピッタリ合ってきたこの時間帯、全てを昇華していくかのように、SBS Racingが躍動し始める。

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ガソリン買い出し係りを快く引き受けてくれた関口。今回Dr.ではなくサポートに徹した。

普段は寡黙だが決めたことはキチッとやり通す義の男である。一日中ガソリンを切らす事なく、ピットへ一人で補給し続けてくれている。
本番当日はモテギに来られなかった鈴木もタイヤの選定、ミーティングの参加や当日の差し入れと、この場に来れなかったメンバーも出来る事を率先して行い、皆んなでチームを作り上げてきた。
彼らもまた、気持ちはDr.と一緒に走っていたに違いない。

斎藤から襷を受けた第13スティントの瀧本が38位まで上げて来た。
続く石崎、加瀬が走る17時台にはピットモニターに映し出された順位は33位。
同門チームのSTiLE、110号車に肉薄する凌ぎ合いでピットを沸かせる。

 

"しろみみ号"自身も昨年の順位を塗り替えるかもしれない順位にいる、このレース展開に、監督の瀧本、メカであり戦略アドバイザーのニッシーも俄然動き出す。

「こうなったら完走狙いじゃなくて、一つでもランクアップ狙って行くよー!!」

倉田率いる"Smoky Bears Team"が一つになっていく。

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全車ライトオン。

モテギの山に暮れゆく夕日に照らされて、"しろみみ号"がモテギのコースに軌跡を鮮やかに染めていく。

加瀬が、"信頼の中継ぎ"として安定して高いスピードを出し続ける。

大人しい外見からは想像しにくい、一発のスピードがある頼りになる男である。
山下がしっかりと襷を繋いだ後に、三度投入のエース斎藤が2スティントホールドで盤石の走りを披露する。
瀧本もアンカーの倉田に最後の襷を託すべく、1周でも多くと周回を重ねていく。

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19:28。"燻し銀"倉田、登場。耐久最後の集大成、魂の第18スティント。

ピットの全員が声援を送り襷を託し、倉田を送り出す。終にアンカーに襷が繋がった瞬間だった。11780000_794567797331111_7465065500798944427_o 11054268_10204677257474809_6951180034413185675_n

Dr.としてサポートとして、何度も参戦してきたこの12耐。
過酷な暑さや眠気から来るしんどさに、毎年、「なんでこんなことやってるんや?」と自問自答を繰り返しながらも、不思議とまた参加している自分がいる。
それは、完走後の充実感と達成感、その後に押し寄せてくる何とも言い表せない昂揚感を、身体が覚えてしまったから。
だから、今回は「仲間達にも味わって貰いたい」と敢えてDr.には手を挙げす、サポートに廻って裏方に徹する筈だった。
しかし、1月の企画立ち上げ時からDr.確保が難航を極め、参戦自体が暗礁に乗り上げる。
最後は、倉田もDr.として参加する覚悟を決めた。
どれか一つでも誰か一人でも欠けたら成立しなかった、今回の"手作りチーム"のSBS Racing。リーダーの倉田も、監督の瀧本も薄氷を履む想いだったはずだ。

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19:50。泣いても笑っても長かった12時間という熱いドラマがエンディングを迎えようとしている。
倉田の雄姿を一目見ようと、サポート全員が、サインボードエリアのフェンスに掴まるように張り付いて、精一杯の声援を送る。

モテギのコースには完全に夜が舞い降りる。アンカーを走る各Dr.は、クリッピングポイントは疎か、ゼブラに塗り分けられたライン際さえも見えていない漆黒の闇夜のコースだろう。  11741224_794567737331117_5835914193941606944_o11035578_794567740664450_8487477614483651761_o11754773_794567750664449_3681708932880272489_oその倉田駆る"しろみみ号"が、皆んなが見守るホームストレートを、力強く「どうや〜!」と言わんばかりに、全開で駆け抜けていく。
倉田の熱い想いが、気迫が、魂が伝わる"12時間耐久集大成"の熱いラストスティントだった。

33位で受けた襷を、2ランクアップの31位でフィニッシュ。チェッカーフラッグが各マシンを労うように振られている。
そして、"しろみみ号"が34番ピットに誇らしげに凱旋してきた。

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監督としてDr.として友人として、倉田を出迎えた瀧本も男泣きしている。

「今まで耐久に参加してきて、一度も満足したことが無かった」そう語っていた倉田。

ヘルメットを脱ぐ事も忘れ、全員と熱い抱擁を繰り返しながら感無量で泣いている。

 

Smoky Bears by Stile Racing Team

"しろみみ号 "(#463)
総合31位/94台 222LAP
Endurance-2クラス 20位/62台

 

"しろみみ号"自身も昨年の成績を超える快挙。
(総合44位/89台 206LAP)

 

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耐久終了後のSBS Racingのミーティングでは、参加者の誰もが充実感に満ち溢れ清々しい顔をしていた。
自分達で作り上げたチームで1つになって暑い夏を皆で乗り越えた最高の瞬間がそこにはあった。

idlers Games 夏の12時間耐久には、一人一人に感動のドラマがある。

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